マレーグマが好き。

生きてるだけでMVP。心の健康を保つための日記です。アイコンとヘッダーはともだちに描いてもらったものです。

みっともない話。

6/13は生まれて初めてできた恋人の誕生日だった。そのひとは2つ年上だった。相手にとってもぼくが初めての恋人だった。
12月に付き合い始めて、5月に別れたから、誕生日を祝うことはなかった。

始めてのデートはクリスマスの大阪駅だった。緊張のあまり、待ち合わせ時間が18時だったか午後8時だったかわからなくなり、18時前に着いてずっと待っていた。大阪駅を訪れるのも初めてだった(大阪に出るときは阪急梅田駅のほうがよく使うので)。当時の大阪駅は大規模改修前で、今よりずっと汚かった。ごったがえする大阪駅の人の群れで恋人を待った。2時間後に正しい待ち合わせ時間通りに訪れた相手にその話をすると笑ってくれた。かるくごはんを食べただけ、なんてことのないデートだった。手編みのマフラー作っているのだと、恋人は言った。今日に間に合わなくてごめん、次に会ったときに渡すね、と言った。水を飲まないひとだった。食事中、コップにはほとんど口をつけていなかった。ぼくはよく水を飲む。対照的ですね、というと笑ってくれた。その日、初めて手を繋いだ。

次のデートは初詣だった。八坂神社に行った。兵庫に住んでいる恋人は、わざわざ四条まで出てきてくれた。手を繋ぎませんか? と言うと、そういうのは恥ずかしいから好きじゃない、と断られた。初詣を済ませ、かるくお茶でも、と誘うと断られた。東京で勤めているお兄さんが帰ってきているらしく、家族で過ごすそうだ。別れ間際、一緒に写真を撮りたい、と頼むと、それは許してくれた。マフラーはもらえなかった。話にも上がらなかった。

恋人は就活で忙しかった。年明け以降、会う機会はほとんどなかった。バレンタインデーはチョコを郵送してくれた。今思えば、随分気を遣ってくれていたのだと思う。一種の義務感なんだろうけれど、ありがたいことだった。

3度目のデートはゴールデンウイークだった。大阪城に行った。付き合いだしてもうすぐ半年になる。一度手を繋いだだけで、恋人らしいことは何もしていない。久々のデートで少しでもいいから関係性を進展させたかった。けれど恋人は言った。自分はそういうことをしたいとは思わない、と。それはつまり別れたいということですか? ぼくは訊いた。そうだね、と恋人は答えた。それで終わり。

人を好きになったことが一度もないのだという。今になれば、そういう人もいるのだとわかる。恋愛感情や性的欲求は誰にでもあるものじゃない。でも当時のぼくにはわからなかった。実際、そのひとはぼくと別れたあとすぐに別のひとと付き合っていたから、単にぼくに魅力がなかったのかもしれない。このことのすったもんだを思い出すと、自分のふるまい言動もろもろのみっともなさにヘドがでる。